副社長は束縛ダーリン
そんな感想を持ちつつ、アイスティーを運んでくれた彼に「ありがとう」と笑顔を向けたら、なぜかウインクを返された。
プッと吹き出した私に、彼も一緒に笑う。
それから親しげに話しかけてきた。
「君のこと、どこかで見かけた気がするんだ。もしかして、同じ大学?」
会社からほど近いこのカフェを、これまでに何度か利用してきた。
私は記憶にないけれど、見覚えがあると彼が言うなら、それはこの店内でのことだと思う。
私は社会人二年目で、大学で出会っていないことだけは確かだった。
「私は大学生じゃなくてOLですよ」と間違いを訂正したら、「えっ、歳上のお姉さんなの!?」と、驚いてみせるその顔は、少々芝居がかっている。
もしかして、見た目より若い年齢を言って、女性客を喜ばせようという、カフェ店員としてのサービスなのかな?
大人っぽく見られたい私としては、大学生に見られることは、褒め言葉じゃないのに……。
「ごゆっくり」と言い置いて、店員が離れていくと、私はガムシロップを手に取った。
しかし、思い直して、アイスティーに入れずに小さな籠の中に戻す。