副社長は束縛ダーリン

庶民的な私たちは、季節限定や割引の言葉に弱い。

「決まりだね!」とウキウキしてレストランに入ろうとしたら、中から他の客が出てきたので、道を譲ろうと一歩横にずれた。

すると……。


私の横を通ろうとしていた女性のひとり客が足を止め、「またあなたなの?」と声をかけてきた。

彼女はハイヒールを履いており、私より十五センチほどは上背のその顔を見上げれば、私の目は丸くなる。


「望月フーズの、お嬢さま!?」


仕立てのよさそうなオフホワイトのスーツを上品に着こなして、ショルダーバッグを携え、手には書類ケースを持つ彼女。

出会ってしまった不運に、やっぱりかき氷の店にすべきだったと後悔しながらも、引きつる笑顔で挨拶する。


「こんにちは。望月さんもフルーツパフェですか? 奇遇ですね……」

「パフェ? 違うわよ、私は仕事。
会社役員であり、フードコーディネーターでもあるの。今日は後者の方の仕事よ」


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