副社長は束縛ダーリン
イベント会場の非常階段で、悠馬さんは終始彼女の求愛を拒んでいた。
間抜けに転がり落ちた格好悪い私を、恋人だと紹介してくれて、『最高にかわいい彼女』だと嬉しい言葉も言ってくれた。
例え望月さんが誘惑したって、悠馬さんはなびかない……と思いたい。
望月さんを前にすると、あまりの違いに自尊心は木っ端微塵に砕かれる。
自分に自信がない分、彼の愛情を信じたくて、「悠馬さんは私を捨てたりしません」と願望を口にした。
すると彼女の口元に浮かんでいた笑みがスッと消える。
「ずいぶんと余裕があるのね。私ね、大学時代に悠馬のことを一度、振っているのよ。研究室が一緒で、卒業研究は共同で行っていたの。そのとき、仲が深まって……」
「嘘……」
「嘘じゃないわ。当時、私には別に恋人がいたから彼の告白を断ったの。新進気鋭の起業家と言われていた人で、そのときは悠馬より魅力的に感じたけど……判断ミスだったみたい。
悠馬を受け入れるべきだったと後悔しているのよ。優秀で見栄えもするいい男。素敵よね、悠馬って」