副社長は束縛ダーリン

頭をフライパンで殴られたくらいのショックを受けていた。

だって悠馬さん、そんなこと、ひと言も言わなかったから……。


今は私を愛してくれる悠馬さんだけど、大学時代には望月さんが好きだった。

途端に彼の私への愛情がいつか消えてしまうのではないかと焦り出し、望月さんに取られそうな予感に落ち着きを失う。

やっぱり彼と個人的に連絡を取り合うのはやめてほしいと、さっきの言葉を訂正しようとしたら、先に言葉を続けられた。


「朱梨さんは確か、開発部員だと言ってたわよね。私と勝負しましょう? 冷凍コロッケ勝負」

「……はい?」


首をかしげた私に、彼女は挑戦的な笑みを浮かべて説明する。

その勝負とは、冷凍コロッケの開発勝負。

これから三ヶ月かけて新作冷凍コロッケを完成させ、大手スーパーマーケットで同時に発売を開始する。

十日間の売上高で勝敗を決め、勝った方が悠馬さんと交際するという内容だった。


「どう?」と言われても、「そんなのやりません!」と語気を強めて当然拒否。

私にとってメリットゼロだし、悠馬さんを賭け事の商品にするなんて、そんな失礼なこともしたくない。
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