副社長は束縛ダーリン

私と悠馬さんの前に立ち、お嬢様然とした品のよい笑みを浮かべるのは望月さんだ。

繋がれた私たちの手に視線を落とした彼女は、嫉妬するのでも怒るのでもなく、フッと馬鹿にしたように笑う。

まるで『そうしていられるのも今だけよ』と言いたげに。


「覚悟は決まったかしら?」と、彼女は余裕のある顔で私に問う。


「なんの覚悟ですか?」

「もちろん発表を聞く覚悟よ。それと、悠馬と別れる覚悟もね」


ムッとして「私は負けてません!」と語気を強めて言い返したが、やっぱり自信がなくて「まだ……」とボソリと付け足した。


どうしよう。勝って喜ぶ自分を想像できない。

望月さんに負けてしまいそうで、結果を聞くのが怖い……。


十日間の勝負の内の九日間までの結果は、ウェブサイト上で発表されている。

それによると、私のコロッケの合計売上個数は一万七千ちょっとで、望月さんの方は約八千九百と、私より半分ほども少なかった。

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