副社長は束縛ダーリン

『この前』というのは、先週の土曜のことだ。

自宅マンション近くのゴトーヨーカドーで不審者に間違われて連れ帰られた後、私はベッドに軟禁された。

ネクタイで手足を縛られながらじっくりと愛されて、私は快感と幸福感を味わっていた。

悠馬さんの強すぎる独占欲や、度を越した心配性、縛るのが好きという危ない嗜好を喜べる女は、私しかいないと断言できる。


望月さんに諦めてほしくて、彼がどうやって私を縛るのかを赤裸々に話して聞かせる。

「あ、朱梨!」と焦ったような悠馬さんの声がして、後ろから伸びる手に口を塞がれると、彼女に蔑むような目で見られていることにハッと気づいた。

綺麗な顔の眉間に皺が寄り、非難の視線は私の後ろにも向けられる。


「悠馬、それは本当なの?」

「……ああ」


そのとき、マイクを通した司会者の声が広場に響く。


「えー、長らくお待たせしました。これから望月フーズとユキヒラ食品の、冷凍コロッケ勝負の結果発表を行います。関係者様はステージにお集まりください」


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