副社長は束縛ダーリン
開始時間がきてしまったので、私は仕方なくステージ上へ。
主役なので、ずっと陰から見ているわけにはいかないのだ。
ステージの向かって左側にはユキヒラ食品の関係者、右側には望月フーズの関係者が立ち並ぶ。
その中には両社の社長も悠馬さんも望月さんもいて、私は彼らよりも三歩ほど前に立たされていた。
望月フーズ側からも主役とされる女子社員がひとり前に出されているが、彼女は名前を貸しただけの言わば偽者の開発者。
この勝負は若い女子社員ふたりの対決と銘打っていて、望月さんとの勝負であることは伏せられているからだ。
司会の若い男性の紹介で、私は初めて彼女の存在を意識する。
といっても、『鈴木花子さんというのね』というくらいの興味しかなく、顔はへのへのもへじに見えていた。
鈴木さんは私を脅かす存在ではなく、今、私の心臓をフル稼働させ、緊張の真っ只中に立たせているのは“結果”のふた文字。
勝敗を聞くのが怖くて落ち着かない私に、司会者のマイクが向けられる。