副社長は束縛ダーリン
「望月フーズ『大人の贅沢コロッケ』は、四百八十三万六千七十八円となりました。
対するユキヒラ食品『北朱梨のキタアカリコロッケ』は……」
負けたくない……悠馬さんを失いたくない……。
コロッケの神様、お願いです。どうか奇跡の大逆転を起こしてください!
もったいぶるような数秒の間を空けてから、司会者が大声で叫ぶように数字を口にした。
「四百八十三万六千七百四十四円!
なんと、六百六十六円差で、勝者は『北朱梨のキタアカリコロッケ』!」
後ろからワッと歓声が湧き、観客席からはたくさんの拍手を送られた。
勝った……。
わずか数パック差で、私が望月さんに勝ったんだ……。
茫然自失とは、こういうときに使う言葉だろう。
まだ喜べないほどの驚きに包まれて、頭にぼんやりとした霞がかかり、思考停止に陥っていた。
半開きの口でポカンとしていたら、後ろに「朱梨!」と嬉しそうな悠馬さんの声を聞き、ハッと我に返る。