副社長は束縛ダーリン
だから、嫉妬する必要はどこにもない。
『私が好きなのは悠馬さんだけですよ』という思いを込めて、彼の瞳をじっと見つめていた。
すると、彼の目つきが優しくなる。
今度は作り笑顔ではなく、本物の笑みを浮かべて、口の中のコロッケを飲み込んだ悠馬さんは野田さんに言った。
「美味しいですね。ドライトマトの酸味とチーズのコク、バジルの香りのバランスがちょうどいい。
朱梨のせいで、洗剤の味もしましたが……」
茶化したように付け足された余計な言葉に、それまで緊張の中にいたみんなが、どっと笑った。
野田さんはホッとしたように胸に手を当て、「ありがとうございます」と、好評価に対するというよりは、お咎めがなかったことについての、お礼の言葉を述べていた。
私もみんなと一緒に笑いながら、心の中で安堵の溜め息をつく。
悠馬さんのこういう面は、嫌じゃないけど少々困る。
二班のメンバーに気を使わせて、申し訳ない気持ちにさせられるからだ。