副社長は束縛ダーリン

白い廊下に人通りはない。

この二階の西側は開発室が集中していて、開発部員というものは大抵、室内にこもって仕事をするものだから。


二班の開発室のドア横で「なんですか?」と用件を問うと、彼は残念そうに言った。


「明日、急な出張が入って、今夜の飛行機で行かなきゃならないんだ。帰るのは日曜の夜になる」

「そうですか。今週末のお泊まりは無しってことですね」

「ああ。悪いね」


彼と交際を始めてから、金曜の夜から月曜の朝までは一緒に過ごしている。

記念日でもないのに服や靴やバッグを買ってくれて、美味しいレストランでご馳走になり、夜景の見える彼のマンションに泊まって、セレブな時間を旅行感覚で楽しませてもらっていた。


仕事と言って土日に出かけることもある彼だけど、マンションで待っていれば数時間後には戻ってきてくれるので、今回のようにまったく会えない週末というのは初めてのことになる。


寂しいと感じたが、それは一瞬のことで、すぐに心が弾み出す。

久しぶりの自由時間を与えられた気分で、頭の中ではアレコレと、土日の予定を立て始めていた。

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