副社長は束縛ダーリン
右を向くと、ユッコの手の中の中ジョッキのビールは空になりそう。
さっき乾杯したばかりなのに、ペースが早いね……。
私はそんなにお酒に強くないし、飲むより食べたい方だから、梅酒サワーはほとんど減っていない。
ユッコは、長谷部くんたち他の人の分も、まとめて二杯目を注文し、それから、なぜか私の肩に腕を回して引き寄せる。
彼女のほろ酔いの頬は少し赤く、なぜか挑戦的な目を長谷部くんに向けていた。
「彼女と別れたんだって?
だからって、朱梨を狙うのはやめときな。副社長にクビにされちゃうよ〜」
「え!?」
私を狙うというのは冗談だろうけど、彼女と別れたというのは?
彼女ができた話を聞いてから、二ヶ月も経っていないのに、早すぎない?
ふたりに一体、なにがあったのかと興味本位に食いついてしまう私に、長谷部くんは苦笑いして教えてくれた。
「なんか疲れちゃって。俺から別れようって言った」
「なんで? かわいいし、いい子そうなのに」
「いい子だよ。でも、嫉妬深いというか、束縛タイプで。俺のスマホチェックしようとするし、女子社員と会話しただけで拗ねるし、LINEが頻繁過ぎて……。体調崩したよ、俺」
「そうなんだ……」