【溺愛注意!】御曹司様はツンデレ秘書とイチャイチャしたい
「……まぁ、他の男からもらったものを、詩乃ちゃんに身につけさせる気はないけどね」
低い声でそう囁かれた言葉に、じわりと浮かぶ独占欲と支配欲。
ぞくりとするほどの色っぽさに、思わず飛び上がった。
「か、からかわないでください!」
叫ぶようにそう言って、専務から距離を取る。
「からかってないのに」
そう言った表情はあきらかに面白がっていて、私は頬を膨らませながら専務に背を向けた。
こうやって専務にからかわれるのなんて、いつものことなのに。
ちょっと動揺しすぎだ。
落ち着け、自分。
とりあえずトイレにでも避難しようと早足で進んでいると、「詩乃ちゃん」と声をかけられた。
「……はい」
足を止め、恐る恐る振り返る。
すると専務は笑っていた。
まるで愛しいものでも見るような、くしゃりと目尻が下がる優しい表情で。
「もうすぐパーティー終わるから、混雑する前にそろそろ抜けよう。ロビーで待ってる」
そう言われ、平静を装って頷いた。