【溺愛注意!】御曹司様はツンデレ秘書とイチャイチャしたい
パーティーに出席した翌日、仕事を終え会社を出ると、千葉くんが私のことを待っていた。
「詩乃」
と低い声で呼ばれ、飛び上がって逃げだしたくなる。
どうして、ここに? 昨日働いている会社も場所も教えなかったから、もう偶然会うこともないだろうと思っていたのに。
顔を強張らせる私に、千葉くんは「ついてこい」とキツイ口調で命令する。
「でも……」
私が戸惑っていると、呆れたように大きなため息。
「こんな会社の前で、猫耳がどうとか、話したくねぇだろ?」
そう言われ、仕方なく頷いた。
目についた居酒屋にとりあえず入り、半個室の禁煙席に通されて、千葉くんと向かい合って座った。
メニューを開き、適当に料理を注文すると、千葉くんは着ていたスーツを脱いでため息をつく。
「えっと、千葉くんはこっちで働いてるの?」
気まずくて、そうたずねると、千葉くんはネクタイを緩めながらつまらなそうに首を横に振る。
「いや、地元。東京は出張で来てるだけ。来週の頭には帰る」
「あ、だから昨日ホテルにいたんだ」
なるほど、と頷くと、「バカか」と冷たく吐き捨てられた。