【溺愛注意!】御曹司様はツンデレ秘書とイチャイチャしたい
「普通の会社員が出張であんな高級ホテルに泊まれるわけねーだろ。昨日は接待」
「そうなんだ……」
短く頷いて、俯く。
千葉くんの率直で乱暴な口調は、少し苦手だ。
強い口調ではっきりと言われると、なぜか呼吸が苦しくなる。
「綾崎グループの御曹司様とは金銭感覚が違うんだよ」
そう言われ、はっとして顔を上げる。
そういえば、昨日なにも言っていないのに、どうして私が綾崎グループで働いているとわかったんだろう。
そんな私の表情を見て、千葉くんはバカにしたように鼻で笑う。
「そんなの、少し調べれば分かるだろ。俺も一応食品業界の人間だし」
そう言って、名刺を取り出す。
千葉くんは大手飲料メーカーの営業をしているらしい。
「昨日は、うちの業界でも有名な綾崎グループのイケメン御曹司が、秘書に猫耳と尻尾をつけてパーティーに参加させてんのかよって驚いた」
千葉くんの言葉に、驚いて目を見開く。
そんな変な噂を流されたら大変だと、慌てて口を開いた。
「ちが……っ!」
「でも、それとなくパーティーの様子を伺ってみたけど、そんなこと誰も言ってなくて、おかしいなと思った」
そう言って、千葉くんが私の事を見る。
不安でぺたりと寝てしまった猫耳をじっと見て、首を傾げた。