【溺愛注意!】御曹司様はツンデレ秘書とイチャイチャしたい
「そういえばありましたね、そんなこと」
「『生産者が困ってるなら、俺が買ってやる!』って、勢いで全部受け入れて、農協や関係部署への根回しなんてあと回しですよ。なんて無茶苦茶なんだろうと思ったけど、父のその行動に、たくさんの農家の方が安堵したそうです。非常時にはそのくらいリーダーシップのある人間が必要なんだって実感しました。そして食品物流の大切さを改めて感じて、父の仕事に興味をもったんです」
「それで子会社の綾崎フーズに入社されて、大ヒット商品を手掛けたんですね」
納得したように頷いた記者に、専務は微笑む。
ふたりのやり取りを聞きながら、時計を見る。
思ったより話が弾んでいるな。取材は三十分の予定だったけど、少し長引きそうだ。
そう思いながら、私は頭の中で今日のスケジュールを再確認した。