【溺愛注意!】御曹司様はツンデレ秘書とイチャイチャしたい
新聞社の取材が終わり、役員室の応接セットを整えていると専務に声をかけられた。
「あ、詩乃ちゃん」
「冬木です」
訂正しながら振り向くと、可愛い猫のキーホルダーが、私の目の前でゆらゆらと揺れていた。
新聞の下に隠れ、顔だけちょこんと覗かせた白と黒のハチワレ猫のイラストの、アクリルキーホルダー。
好奇心でいっぱい、というように緑がかった目を真ん丸に見開いて新聞の下から外を見る姿がかわいくて、私は思わずごくりと息を飲む。
「さっきの新聞社の神崎さんがくれたんだけど、詩乃ちゃんこういうの好きでしょ」
「別に、好きというわけでは……」
新聞社のマスコットキャラクターの『にゃんだろう君』グッズ。
とってもかわいくて人気なのに、グッズを一般販売していないので、とても貴重なお宝グッズだ。
それを、私に?
受け取っていいのか躊躇いながら専務の顔を見上げると、強引に私にキーホルダーを握らせる。
そのうえ、さらに他のグッズが入った袋を手渡してきた。
「他にもクリアファイルとかメモ帳とかボールペンとか、色々もらったんだよね」
そう言われ、思わず袋の中を覗き込む。クリアファイルに印刷された新聞の下から尻尾だけ出す『にゃんだろう君』や、ペンの後ろに肉球のチャームがついた『にゃんだろう君』ボールペン。
可愛いグッズがいっぱいで、目を見開く。