【溺愛注意!】御曹司様はツンデレ秘書とイチャイチャしたい
入社以来ずっと、冷たくて愛想のない真面目でつまらない女だと言われてきた。
なにを言っても動揺しない、慌てない、常に冷静沈着の『感情を捨てた鉄の女』だ、なんて影呼ばれいてるのも知ってる。
本当は感情を捨てたわけじゃなく、ただ素直に気持ちを表に出すのが苦手なだけなんだけど、訂正するのも面倒だし、仕事に支障があるわけでもなのでそのままの自分を貫いてきた。
そんな無愛想な私に、魅力的すぎる御曹司様のお世話係の白羽の矢が立ったんだろう。
新しい仕事への不安はあるけれど、私のとりえは真面目に仕事をすることくらいしかないんだから、どこに異動になろうと今まで通りコツコツやっていくしかない。
羨ましがる同僚の女の子たちの言葉を聞き流しながら、そう自分に言い聞かせる。
初めて足を踏み入れた役員室。
一歩足を進めて、パンプスが少し沈み込んだことに驚いて足元を見る。
弾力性のある上質な絨毯。他の階のフロアマットなんかとは比べ物にならない値段だということが、ひと目で分かる。
壁紙はオフホワイト。ダークブラウンの木目の天井には暖色系のダウンライトが埋め込まれていて、落ち着いたモダンな内装だった。
部屋の中央にはシンプルで質のいい応接ソファー。
その奥にあるデスクにその人は座っていた。
この部屋の主。そして私の上司。