【溺愛注意!】御曹司様はツンデレ秘書とイチャイチャしたい
「あらやだー。土曜の朝っぱらから、こんなところで若い女が酔いつぶれてるわ」
低い声に女言葉。そのギャップに驚いて顔を上げると、逞しい体に美しい顔のクミコさんが、こちらを見下ろしていた。
「ク、クミコさん……」
ぎょっとして目を見開く私に、クミコさんは「あぁ」と笑う。
「なんだ。酔っぱらいかと思ったら、猫耳秘書じゃない」
「猫耳秘書って……」
とんでもない呼び方に、思わず顔をしかめる。
「相変わらず、思いっきり取り憑かれてるわね」
「やっぱり、取り憑かれてますか……」
私が途方に暮れてつぶやくと、当然じゃないといいたげな表情で、クミコさんは頷いた。
「あの、猫耳が消えないんです。尻尾も……。どうしたらいいですか……?」
しゃがみこんだまま私がそう言うと、クミコさんは思い切り嫌そうな顔をする。
「ヤダ。一晩中働いて、これからおうちに帰ってひとっ風呂浴びて寝るわよって人を相手に、そんな面倒な話をしてこないでよ」
「そうですよね……。すいません」
朝からこんな相談をするのは、迷惑だってわかってる。
感情のない声で謝って、また俯く。その視界の端で、黒い尻尾がゆらゆら揺れていた。