【溺愛注意!】御曹司様はツンデレ秘書とイチャイチャしたい
この幸せがなんだか信じられなくて、思わず自分の頭の上に手を伸ばす。
そこにはもう柔らかな猫耳はなくて、サラサラと指の間をこぼれる自分の髪の感触しかないことを確かめる。
突然私に生えた猫耳と尻尾。
不器用でひねくれた私を心配した愛猫のハチが起こしてくれた嘘みたいな出来事。
あの奇跡のおかげで、十年間ずっと素直になれなかった私が、勇気を持って専務に好きと伝えることが出来た。
今こうやって専務と一緒にいられるのは、全部ハチのおかげだ。
白と黒の柔らかなハチの毛並みを思い出しながら、専務の顔を見上げると、私の視線に気づいた専務が小さく笑った。
私の髪を優しくなで、つむじに触れるだけのキスをする。
くすぐったくて首をすくめると、専務がクスクスと楽しげに笑った。
幸せすぎると泣きたくなるなんて。
こんな気持ち、はじめて知った。