【溺愛注意!】御曹司様はツンデレ秘書とイチャイチャしたい
 



「俺は今日出かけるけど、詩乃ちゃんはゆっくりしてていいから」

すっかり着替え、出かける支度をすませた専務がこちらを見てそう言う。
今日は社長と取引先の重役と一緒に出かけるらしい。
役員に決まった休日はないとはいうけれど、日曜日の朝からこうやって予定が詰まっていて、本当に忙しい人だと思う。

「もしよかったら、ここで専務の帰りを待っていてもいいですか?」

恐る恐るそう聞くと、専務の顔がくしゃりと笑顔になる。

「本当? 多分、五時頃には帰れると思うから」
「じゃあ、なにか夕食作って待ってますね」
「うん。楽しみにしてる」
「キッチンの物、お借りしてもいいですか?」

念のためそう聞くと、専務は笑ってこくりと頷いた。

「いいよ。好きに使って。別にやましいものはないから、部屋中家探ししても大丈夫だよ」
「家探しなんてしません」
「そう? 遠慮しなくてもいいのに」

クスクスと肩を揺らし、思い出したように「あ」とつぶやく。

「そうだ。あそこの引き出しだけ、大事なものが入ってるから」

そう言って、リビングにある棚を指差した。

 
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