【溺愛注意!】御曹司様はツンデレ秘書とイチャイチャしたい
なんとなく、手を持ち上げ自分の頭に触れる。
大きな手だったな。
彼になでられた感触を思い出しながらそっと自分の髪に触れていると、『おい』と不機嫌な声で呼ばれた。
振り向くと、そこには険しい顔をした千葉くんがいた。
『千葉くん……』
『今の、誰だよ』
『べ、別に……』
気まずくて会いたくなかったのに、会ってしまった緊張感と戸惑いで、咄嗟に答えがみつからず思わず顔をそむけそう言う。
逃げてばかりいないでちゃんと話した方がいいと、たった今アドバイスされたばかりなのに、心の準備をできていない私は、彼を拒むような仏頂面を浮かべてしまった。
その私の可愛げのない態度に、千葉くんがカチンと怒るのがわかった。
『別にってなんだよ! よく知らない男にヘラヘラ笑って頭撫でられて!』
なんで千葉くんがそんなに怒っているのか、わけがわからず黙り込む。
私が無表情で黙り込むと、さらに千葉くんが苛立つ。
『ふざけんなよ。俺が今までどんな気持ちでお前のこと探し回ってたと思ってんだよ! 何回も電話したのに全部無視して逃げ回って!』
千葉くんが怒れば怒るほど、私はどうしていいのか分からなくて、顔が強張って言葉が出てこなくなってしまう。
いつまでも固く口を引き結んだまま喋ろうとしない私に、千葉くんは怒鳴るように言った。