【溺愛注意!】御曹司様はツンデレ秘書とイチャイチャしたい
『誠人さーん! いないと思ったら、こんなとろこにいたんですか!』
『あ、サボってるの、バレちゃった』
やばい、と言いながら、彼が立ち上がる。
振り返れば、スーツを着て眼鏡をかけた真面目そうな男の人が、あきれたようにこちらを見ていた。
『社長もお待ちですよ』
『ごめん、乾さん。今行く』
そう言いながら、こちらにちらりと微笑みかけて、こちらに手を伸ばした。
私の持っていた缶詰を、長い指でひょいと取り上げる。
『これ、もらっていい?』
へたくそな猫の絵がふたつ描かれた缶詰。
こんなものどうするんだろうと思いつつ頷くと、彼はふわりと笑った。
そして、私の頭をぐりぐりと撫でる。
『ありがとう。へこんでたけど、君のおかげでやる気が出てきた』
『いえ……』
お礼を言いたいのは、こちらのほうです。
そう言いたかったけど、なんだか恥ずかしくて黙り込む。
そんな私に笑いかけて、彼は土手の下で待つ男の人のところへと歩いていった。