【溺愛注意!】御曹司様はツンデレ秘書とイチャイチャしたい
 

思わず視線を泳がせたけど誤魔化せないなとあきらめて、小さくため息をついた。

「副社長の弘人さんは、東南アジアの財閥のご令嬢と結婚されるんですよね?」
「だから、それは俺じゃなくて兄貴だから」
「でも、専務は御曹司で、この先ふさわしい家柄や身分の女性と縁談があるかもしれません」
「そんなの関係ないって」
「専務は気にされなくても、社長や奥様は……」

そう言うと、専務は脱力してため息をついた。

「親父とおふくろの方がそんなこと気にしないよ。だってうちのおふくろ、元々親父の秘書だもん」
「え!?」

専務の言葉に、目を丸くして固まる。

奥様が、社長の元秘書……?

「知らなかったの? だから、詩乃ちゃんの前の秘書が三人も連続で交代したんだよ。おふくろも元秘書だって噂を聞いて、自分もそうなりたいって、秘書の仕事そっちのけで色気ばっかり出してくるから仕事にならなくて」
「え。でも、副社長の弘人さんは誰にも言い寄られたりしてませんでしたよ?」

 
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