【溺愛注意!】御曹司様はツンデレ秘書とイチャイチャしたい
「そういえば、社長のお土産ちゃんともらった?」
左ハンドルの車を慣れた様子で運転しながら、専務がちらりとこちらを見る。
「はい。いただきました」
「なにもらったの?」
「紅茶の茶葉を」
「えー?」
私の答えに、なぜか専務は不満げに眉をひそめる。
「社長なら、もっと可愛いものとか面白いもの買ってきただろ? ちゃんと自分の欲しいのもらった? どうせみんなが選んだ後の残り物を取ったんじゃないの?」
「いえ、そんなことは……」
確かに、社長のお土産はいつもバラエティー豊富で、女の子なら目を輝かせそうな綺麗な小物やアクセサリー。
珍しいスイーツやお酒や現地の伝統工芸品など色々買ってきてくれる。
私は秘書課の社員たちで分け合ったあとの余ったものをもらうことが多いけど、なんでそんなことを専務が知っているんだろう。
「欲しいものがあるなら、遠慮することなんてないのに」
前を向いたままそう言われ、戸惑いながら俯いた。
「遠慮はしていません。私には、可愛い小物や女の子らしいスイーツは似合いませんから」
そして、またこんな可愛げのないことを言ってしまう。
『ありがとうございます。次からは欲しいもの一番にもらいますね』なんてにっこり笑って言えたらいいのに。
そんなことが言える性格だったら、私みたいにひねくれた女になるわけないけど。