【溺愛注意!】御曹司様はツンデレ秘書とイチャイチャしたい
「おせっかいかもしれないけど、詩乃ちゃんはちゃんと、可愛いものも、いい匂いも似合うよ」
運転しながらそう言った専務に、匂いってどういう意味だろうと微かに首を傾げると、横目でちらりとこちらを見て笑う。
「昨日の甘い匂いも、ちゃんと似合ってたよ」
そう言われて、思わず目を見開いた。
「俺がいい匂いするなんて余計なことを言ったから、気にして今日はいつものシャンプーに戻したのかなって思ってたんだけど。ちがう?」
なにこの人。鼻がよすぎるというか、鋭すぎるというか!
何気なく言われた一言をいちいち気にしてシャンプーを変えてしまった自分を見抜かれて、どうしようもなく恥ずかしくなる。
しかし、ひねくれた私は動揺すればするほど表情筋が強張り無愛想になってしまう。
「違います。たまたまです」
必要以上に強い口調で突っぱねるように否定する。
そんな失礼な態度をとる私に専務は柔らかく笑い、視線を前に戻す。
スムーズな動作で車を運転する彼には、少しも気を悪くした様子はなかった。
やっぱり私がどんな態度をとっても、専務にはどうでもいいことなのだ。
「そっか。俺は昨日の香り、好きだったんだけどな」
独り言のようにつぶやかれ、じゃあ今日のあのシャンプーを使ってみようかな、なんて思ってしまう自分が嫌になる。