【溺愛注意!】御曹司様はツンデレ秘書とイチャイチャしたい
 
彫りの深い顔に、綺麗な二重の大きな瞳。
通った鼻筋と少し大きめの口。
黙っていればそれだけで絵になる美しい造りの顔は、笑うと途端にシワが寄り目尻が下がり親しみやすくなる。

まだ三十代の前半という若さで専務というポジションにつき、そのうえ思わず見とれてしまうほどのイケメンとなれば、周りからやっかまれて妬まれても仕方がないはずなのに、その愛嬌のある笑顔のおかげで、彼はみんなから愛されていた。

どんな無茶振りも、彼のためなら頑張るか。社員にそう思わせる魅力を備えた人。
ずるいな、と思いながら、こちらにむかって微笑む男を少しだけ睨む。

「どうかした?」
「いえ」

首を傾げる専務に頭を振りながら、役員室に備え付けられたクローゼットの扉を開く。
冠婚葬祭用の物を含め、常に何本か用意しているネクタイの中から一本選び引き抜いた。
それをきょとんとする専務に手渡す。

「新聞社の取材の際は、こちらのネクタイに取り替えていただけますか?」
「どうして? 今してるのはおかしい?」

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