【完】うぶな私がイケメンチャラ男と恋するまで


「こいつ、いい女だろー?
でも人のもんに手出すのは悪いことだよなあー?」





羽交い締めされた俺の体はそいつの好きなように殴られるのみ。





「…げほっごほっ」

「も、もうやめて!私が悪いの、私が…!」





そう言いかけて止める。

男はギロっと彼女を睨む。





「俺よりもこいつの方が気に入ったってか?
そいつぁひでぇなあ?」





こいつのターゲットが俺から彼女にうつる気がして、口の中の血を吐き出して言う。





「女に手あげる方が酷いんじゃねえのか?」

「ああ?」





そうして俺の作戦は成功したようでまたも口の中が血でいっぱいになる。


もう何が何だか分からなくなった時、ちょうどその拳が止まった。

逃げ出したあの子が周りに叫びかけ人が集まっていたからだ。中には携帯で警察を呼んでくれる人もいた。





「お、おい。づらかるぞ」





バタバタと去っていく男達とすれ違いに、人を掻き分け寄ってきた人がいた。





「…怜央…」





何とか起こした体はまた地面に打ち付けられる。


怜央の拳によって。





「月星!お前何してんだよ!!
力づくでも引きずってでも止めるべきだった。こんなんなってまで、何やってんだよ!」

「…悪い」





怜央の肩に腕を回し、家まで送ってもらう。



怜央の家で傷の手当をしてもらっている間、あの日のことが脳裏に浮かんでいた。


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