【完】うぶな私がイケメンチャラ男と恋するまで
「なあ月星。お前がいつも何を考えてて今何を思ってるのか俺には分からない。でも1つだけ言えることがある。
芹澤璃乃。お前にとってこの子は大事な子なんだろ?桜さんじゃない。桜さんとは違うんだ」
「あの人は…」
今のこととは関係ない。
そう言いたかった、でも言えなかった。
「俺は、自分がどうしたいのかも分かんねぇんだよ…」
「分かった。今日はうちに泊まっていいから」
そう言うと怜央は俺用のマグカップを持ってきた。蜂蜜を少し入れたホットミルク。
それは俺が昔から辛いことや悲しいことがあって眠れなくなった時に決まって怜央が作ってくれたものだった。
こんなん飲んで気休めになるほどガキじゃねぇよ…
けど口の中に優しい甘さが広がって不思議と落ち着いた。
俺もまだまだガキなのか…
それからマグカップを渡して1人怜央の部屋のベッドに横たわる。
戻ってきた怜央は
「今日はお前がベッド使っていいから…って言う必要はなかったな」
扉を開けるなり俺を見て少し笑って言った。
「俺は明日ちょっと行くとこあるから、起きたらここにいるなり、帰るなり好きにしろ」
「ああ…」
怜央の行先も気になったが早々に布団を敷いて寝始めたので聞けなかった。
俺はというと簡単に寝付けるはずもなく、ただぼんやりと部屋の天井を眺めていた。
気が付くと、外は明るくなっていて部屋にも俺しか残されていなかった。
時計を見ると10時30分。
布団から出る気にはなれなくて、もう一度静かに目を閉じた。
再び目を開けるとお昼を過ぎていた。
家に帰るか?
きっとこのまま怜央の家に居ても何も言われないと思う。
でもやっぱりずっと頼りっぱなしなのも性にあわない。
「とりあえず歩くか」
そうして怜央の家を出た。
自分の家に帰ることも考えたが少しこの辺りを歩くことに決めた。
--Runa:Side End--