【完】うぶな私がイケメンチャラ男と恋するまで


「この前の模試の結果を返していくぞー」





帰りの会で先生が順に名前を呼んでいく。


私はその答案結果を見て愕然とした。





「……!?」





おぉー…マジですか、マジですか。


あんまり出来なかったからひょっとして、とは思ってたけど…まさかここまでとは…



これは本格的にヤバくなってきた。





「ね、ねぇ悠子。今日この後…」

「ごめん!この後はちょっと…」





うぅー…仕方ない!

1人で図書室に残って勉強するとしますか!


そう思って図書室へ向かい足を踏み入れると、既に本を読んでいる生徒がいた。





「わ、何読んでるんだろ…」





近付くと、その生徒は私のよく知る人だった。





「はし…じゃなくて
えっと、こ、幸大くん…!」

「わ!え?せりざ……璃乃、ちゃん?!」





慌てて読んでいた本から私に目を移す。





「何読んでるの?
『獣医の心得』?」

「あ、はい。
昔から獣医っていうのに少し興味があって…」





そう話す彼はとても楽しく嬉しそうだった。





「璃乃…ちゃんは?
何で図書室なんかに…」

「あ…えっと。
今日、模試返ってきたでしょ?その結果が予想以上に悪かったんだ」





説明しながら幸大くんの前の席に座り込む。

机に額をくっつける。





「それなら…」





言葉の続きを聞こうと、ぱっと上げると





「僕が教えましょうか?
って、そんな大層なこと出来ないかもしれないですけど!」





なんと…神様がここにいた。


私はもちろんふたつ返事で





「ぜひお願いします!!」





そうお願いしていた。

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