おはよう、きみが好きです


「おい、彼氏をバカ呼ばわりするとはいい度胸だな」


「え……ぎゃっ!!」



八雲はあたしを軽く睨むと、後ろからガバッと抱きついてきた。



「ぎゃって何だ、色気ねーの」


「おまわりさーーん、ここに犯罪者がいまー……んぐっ!」


「アホか!!シャレにならんわ!!」



八雲が、慌ててあたしの口を塞ぐ。

だって、色気無いとか言うから……。



「ぷはっ……八雲が気持ち悪いこと言うからだし」


「気持ち悪いだぁ?アンタ、なんつーことを。俺をキモイ言うの、泪くらいだぞ」


「ふふん、あたしは正直者なんだよ」


「へぇー、悪さをする口はこの口か〜?」


八雲はニヤリと笑ってあたしの顎を後ろから持ち上げる。


「はーなーせー!」

「やだね、その口塞いでやる……」


振り返るように顔をあげれば、八雲にキスされた。

なるほど……キスで塞ぐってこと。

って、納得してる場合じゃなーーいっ!!


「んーっ、ん!!」


離せー!!

恥ずかしいから、息が苦しいからっ!!

息継ぎのしかたとか、よく分からないんだよっ。

涙が少し滲んだ頃、ようやく八雲の唇が離れる。

そして、あたしの顔を見つめると、満足そうに笑った。


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