ソウル・メイト
ある日の昼過ぎ、玄関のチャイムが鳴った。
誰だろう。下のエントランスをどうにか潜り抜けた営業マンの勧誘?
当然ドアを開ける気なんてない私は、放っておいた。
するとそれから数秒後、今度はドアをドンドンと叩く音が聞こえた。

「ちょっと。いるんでしょ?開けてくれない?」という女性の声に聞き覚えはない。
でも私は、条件反射のように立ち上がった。

インターフォンの受話器を取った私は、「どちら様ですか」と言った。
その気だるげな自分の声に、無気力さがうかがえる。
私が顔に自嘲の笑みを浮かべたとき、「やっぱりいるんじゃない」というさっきの女性の声にまじって、「ママ」という子どもの声が聞こえた。

「え・・」

今の声は、千鶴!?

受話器を乱暴に置いた私は、急いで玄関のドアを開けた。
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