ソウル・メイト
私は口元に、弱弱しい笑みを浮かべた。
それとは逆に、心の中から力が湧いてくるのを感じる。
だって・・こんな私でも、千鶴が私のことを「ママ」と呼んでくれたことが、とても嬉しかったから。

「ちづる」
「なあに?ママ」
「ちょっと早いけど、ママと一緒にお風呂入ろっか」
「ほんとう?うん!ママもいっしょね!」

「わーい!」と嬉しい声を上げながら、お風呂場へ駆けていく千鶴の後ろ姿を見た私は、色々な想いが込み上げてきた。
千鶴が私の元に戻ってきてくれたことの感謝。
これが、満ち足りた気持ち。私にとっての幸せ―――。

何があってもこの子は私が育てる。もうこの子は絶対に手放さない。
私は自分の決意を確かめるように小さく、しっかり頷くと、娘の後を追った。

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