ソウル・メイト
「千鶴はあの人になついていると聞いたから、私はあの子をあなたとあの女に託したのよ。どんなにあの子に会いたくてもアパートへは行かなかったし、電話だって・・・千鶴の声を聞きたくても、ずっと我慢してた。それなのに・・。千鶴から話を聞いた限り、あの女があの子をちゃんとお世話していたとは、とても思えないわ。あなただって。仕事に行く前の朝や、仕事から帰ってきてからの夕方でも、あの子をちゃんと見ていたの?お世話という意味だけじゃなくて、あの子の姿を、その目でしっかりと見ていたの?あの子が毎日、あの女からどんな食事を与えられていたか、あの子がお風呂に入って、ちゃんと体や髪をキレイに洗ってもらっていたか、ちゃんと構ってもらっていたか、あなたは知ってたの?千鶴がここに戻って来たとき、あの子の外見がどんなに薄汚れて見えたか・・。千鶴が何も言わなくても、あの女があの子の育児を放棄していたことが、すぐ分かったわ。千鶴があの家を出て、私の所へ戻りたいと言うのも無理ないわよね」
「そのことは本当にすまないと思ってる。俺も出張があって、帰りが遅いこともあったし・・・だが信頼してたんだ。あいつのこと。週末行ったときにはちゃんと千鶴のことを世話してくれてたからさ」

元夫の「弁解」を、私は鼻で笑った。

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