ソウル・メイト
・・・離婚したこと、そして千鶴を私ひとりで育てていくことを、自分の両親には、電話で知らせただけだった。
シングルマザーになったからと言って、両親に頼って暮らすつもりはない。
だから、両親が暮らしている九州の片田舎に出戻るという道も、私は選ばなかった。
シングルマザーで、これといった特別な資格を持っていないからこそ、田舎よりも都会の方が、職の数だって多いだろうし、その分就職率が高いと思う。
千鶴が通うことになる幼稚園や学校だってそうだ。
実際、大沢クリーンアップに正社員としてすぐ就職できたのも、田舎ではなく都会に目を向けて職探しをした結果だ。

両親はたぶん、これからも多くの困難が待ち受けているであろう私たちの前途を、心配していると思う。
でも、私が多くを語らなかった分、両親も多くを語らずに、ただ心を込めて「気をつけるんだよ」と言ってくれた。

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