マ王の花嫁 
ライオネル王は、私に殺されるつもりは全く無いらしい。
でも実際のところ、王には、私に限らず、誰かに殺される隙が無いのだけれど。

私と違って。

・・・ということは。
ライオネル王の答えは、案外的を得ているのかもしれない・・・。

「おまえといつまでもここで立ち話をしたくない。腹が減った。朝食を食べに行こう」
「あ・・はいっ」

差し出されたライオネル王の腕にそっと手を添えた私は、王と一緒に歩き出した。

「昨夜は存分に動いたからな」
「あーそーですか」
「何故おまえは不機嫌になる。やはり気になるのだろう?マイ・ディア」
「だから別にと言ってるでしょ!」と私が即答すると、ライオネル王から豪快に笑い飛ばされた。

「おまえと戯れるのは、意外と楽しい」
「はぁ?これが“戯れ”ですか!?」
「ああそうだ」
「こんなの・・全然面白くありません!」
「そうむくれるな。俺と一緒にいるこのひと時をもっと楽しめ。マイ・ディア」

そんな言い合いを廊下に響かせながら、話の内容は面白くないけど、この・・“戯れ”を、私は意外にも楽しんでる?と、ほんの一瞬だけ、思ってしまった。

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