マ王の花嫁 
26
皆で手分けして効率良く作業を進めたおかげで、それから1時間程で稲刈りは終わった。

手を洗い終えたライオネル王が、私の前に立ちはだかる。
目の前に見えるのは、王の逞しい胸板で・・・。

何故だか目のやり場に困ってしまった私が、視線を下にそらすと、今度はそこに、ゴツゴツとした大きな手が伸びてきた。

「な・・あ、ごくろうさまでしたっ」と私は言って、濡れた手と汗を拭くタオルを、ライオネル王に渡した。

・・・そう言えば私、タオルを持っていたんだった。
と言うより、命綱のように握りしめていた!

私は、ニヤニヤするライオネル王の顔から、引きはがすように視線を外した。

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