マ王の花嫁 
「少しはお体の疲れは取れましたでしょうか?ジョセフィーヌ様」
「ええ。ありがとう、ニメット」
「仕上げにこちらを」とニメットは言うと、私に香水をシュッと吹きかけた。

途端に芳醇な薔薇の香りが周囲を満たす。

そしてニメットは、婚礼のドレスと同じ、真っ白なベールを私の頭につけると、快活な声で、「では参りましょう!」と言った。

長いドレスの裾を、侍女の何人かが持ち上げ、ニメットは私が転ばないようにと、腕を取って一緒に歩いてくれている。
ニメットは、私の亡き母より年上に、そして私の育ての親・フィリップよりも年下に見える。
朗らかで溌剌としたニメットのおかげでこの場が和んでいるのは、とてもありがたい。

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