マ王の花嫁 
「一刻も早く、育ての父親に会いたいと思うおまえの気持ちは良く分かるが、もう少し待て」
「はい」

そして、射抜くような視線でライオネル様に睨まれれたドレンテルト王は、腰を抜かしたように手近な椅子に座り込むと、「フィリップを連れて参れ」と、震える小声で側近に命じた。

・・・二人とも一国を統治する国王で、しかもドレンテルト王は、仮にもライオネル様の義理の父親にあたるというのに。
ドレンテルト王は、ライ様の屈強な体躯から発せられる国王としての威厳と、射抜くような鋭い視線に、完全に恐れをなしているように見える。
少なくとも私は、ライ様のような、堂々とした威厳や雰囲気を、ドレンテルト王からは微塵も感じられない。

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