見上げた空は広かった
ハナ 1.3 人間を堕落に導くもっとも大きな悪魔は 自分自身を嫌う心である。
初めてアルベルトと出会って連絡先を交換して以来、私達は頻繁に遊びにいくようになった。
と言ってもこの辺りにはパブとかレストランしかないのでもっぱらイタリア人の経営している小さなパブに二人でビールを1、2杯飲みに言ってたわいのないことを話すくらいだ。

アルベルトはイタリア人のイメージとはかけ離れたくらい静かな人だ。
あまり笑わない。
でも穏やかで優しい人だ。
学校でも面倒見の良さで他の生徒、主にアジア系やアフリカ系の生徒に第2外国語のフランス語やイタリア語の課題を手伝ったりしている。

でもその反面、彼がドラッグに手を出していることにも私は気がついてしまった。

彼の部屋に遊びに行ったとき小さなプラスチックバックに入っているコカインとエクスタシーらしきピルを見つけた。

「これさ、、」と思わずアルベルトに聞こうとしたら

「あ、、」

と、まるで私が聞こうとしていることを遮るように何かを言おうとしたので私は聞くのを辞めた。
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