願わくば、この先もずっと・・・
上京当初は何度もホームシックになりかけた。そんなときに出会ったのが元彼。

彼のために苦手な料理を作るのは大変だったけれど楽しかった。それでも一緒に食べることは楽しかったし、満たされていた。


でも、『好きな人ができた』と言われて振られてからはどんなに好きなものを食べても満たされることもなく、食に興味がなくなった。


『じゃあ俺と一緒に夕食食べませんか?俺、料理作るの好きなんですよ。毎日夜、ここにきます。このままこんな乱れた食生活をほってはおけないです。俺にあなたを管理させてください』


思い出してつい懐かしくなった。あれからたくさんいろんなご飯を作ってくれたな。食生活の乱れを直すためにと和食の煮物や焼き魚からデミグラスのオムライス、ロールキャベツなどの洋食。

とにかく彼の作ってくれるものは美味しくて、彼と囲む食卓が楽しくて毎日彼と食べる夕食を楽しみにしていた。


「餃子食べたいな」


時には一緒に作ろうと餃子を作ったこともあった。彼は慣れた手つきで上手に餃子を包んでいくのに私はペタンとワンタンのようになって、笑い合いながら作った。


「餃子、楽しかったですね。それにしても琴子さんがあんなに不器用だとは思わなかったです」

「うるさいな。私だってさすがにもっと手伝いしとけば良かったって思ったよ」


「あはは、だったら何回も作って慣れましょう。ほら、食べますよ、車麩入りの肉じゃがが食べたいって言ったの琴子さんじゃないですか」


「・・・そうだったね、美味しそう。いただきます」
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