花束〜Bouquet〜【短編】



それを聴いて、華菜にぴったりな花だと、ますますそう感じた。

なにもない俺を文句言わず、支えて愛してくれる。

綺麗で真っ白な心の持ち主。
俺の大好きな、誰にも負けない自慢の彼女。


驚いていた彼女の表情が普通に戻ったかと思うと、今度は大粒の涙をこぼし始めた。

「おっおい!?なに、泣いてんだよ‥」

俺ははたから見てもわかるほど動揺してしまった。


「だって‥嬉しいんだもん」
そう言って泣きながら微笑む彼女は、世界中の誰よりも綺麗で愛しく感じた。


「大好き、蒼ちゃん‥」

花束を足元に落として、力いっぱい抱きついてきた。

俺はそっと、華菜を腕の中へと包み込んだ。

俺は、華菜のように素直に気持ちを言葉にできるほど器用ではない。

けれど、俺なりの愛情のすべてを華菜に捧げた。



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