ただ、そばにいて。
 部屋のなかはしんと静まりかえり、冷蔵庫のファンの音がやけに大きく聞こえた。
 にぎやかで懐かしい声を聞いたせいか、少し寂しい気持ちになる。

 暗い部屋のなか、電化製品の小さな光がそこかしこで輝いている。
 ――まるで真冬のホタルみたいだ。

 体がぶるりと震える。
 カーテンをめくって外を見ると、大粒の雪が夜空をふわふわと舞っていた。どうりで寒いわけだ。

 悠斗は急いで二階へ戻った。
 あたたかなベッドに早くもぐりこみたい。


 ドアを開けて瑞希の部屋に入ると、ふわっとしたぬくもりを感じた。
 冷えた体で触れぬよう、瑞希から少し離れて横になる。
 だが瑞希は、目を閉じたまま悠斗の肩にすり寄ってきた。

 仲間と旅行に行けなかったのにそれほど寂しくないのは、きっと瑞希が隣にいてくれるからなのだろう。
 悠斗は幸せな気分で目を閉じた。
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