媚薬と私
結局、由紀子に返信したのは、仕事の昼休みに入ってからだ。
前にも言ったが、僕は気に入っている相手に対してのメールは、じっくりと時間をかける。
頭で文章を考えてから、メールを書き、また書いた内容を読み直してから送る。
だから、僕の意見としては、特定の彼からのメールの返信が遅かったとしても、
それで脈なしと捉えるのは、早いと思う。
たとえ既読になったとしても、返信できない時もあるし、そうそうスマホばかり、いじっているわけではない。
「食事いつにする?」
「高藤さんの空いている日を教えて。」
「高藤さんの自宅は、●●だったよね・・・?」
「そっち方面まで、行こうか?」
僕はこのようなメールを送った。
単純な文章だが、色々考えたのだ。
由紀子が住んでいる所は、僕のいる場所からは、かなり遠い。
正直、彼女の住んでいる所まで行くのは、大変だと思った。
大変と思っている時点で、恋愛ではないのかな・・・?
20代の頃なら、どんなに遠くでも、好きな人の為なら、行っていたのは事実!
だが、仕事はともかく、今は家庭があり、多少なりとも制限がある。
いや、元々、単に食事をするだけだ。
恋愛ではない!
由紀子からの返事は、早かった。
僕がメールをしてから、1時間後だ。
「今月でしたら、11日、12日、18日、27日が空いています。」
「住んでいる所は●●ですが、■■まで出ますので、その辺りでどうですか?」
まずホッとしたのは、会う場所が、僕と由紀子の中間地点だった所だ。
いや、彼女の方が遠いだろう・・・。
■■なら、食事したり、飲んだりする所に不自由しない。
交通のアクセスも、かなりいい。
会う日は、早い方が良かったが、仕事の都合で、27日にした。
早速、由紀子に返信した。
「では、27日にしよう!」
「■■での食事、オッケーだよ!」
「何が食べたい・・・?」
段々、具体的になっていくのが、楽しかった。
そういえば、由紀子は食べ物は、何が好きなのだろう?
お酒は強かったかな?
由紀子とは、何度か一緒に飲んだ事があるが、職場の飲み会に参加した時だった為、
よく知らなかった。