媚薬と私
僕は46歳で、由紀子は26歳。
丁度20歳違う。
しかし、年齢差は関係無いと思った。
相性が大切だ。
由紀子と一緒にいて、つくづくそう思った。
そう思ったのは、僕だけであろうか・・・・?
とにかく由紀子との時間は、あっと言う間に過ぎていった。
気楽に飲もうと思ったのが、また良かったのかも知れない。
時刻は22時半を過ぎていた。
「そろそろ帰る?」
僕がそう言うと、由紀子は「はい」と答えた。
会計は、もちろん僕が払った。
由紀子は半分出すと言ったが、断った。
「今日はご馳走させてよ。」と僕は言った。
由紀子は、
「分りました。じゃあご馳走様になります。」
と言って、深々と頭を下げた。
20歳も年下の女の子に、お金を出してもらうわけには、行かなかった。
逆に由紀子には、喜んでご馳走したかった。
とても楽しかったからだ。
「また飲もうよ。仕事の話、たまに聞いてね。」
僕は、次につなげる為に、それとなく由紀子に伝えた。
由紀子は笑顔で「はい」と言った。
若い頃の僕なら、大喜びしたであろう。
素直に相手の言葉を信じたからだ。
しかし、この歳になると、女心の難しさを、少しは分ると思っている。
たとえ、その時オッケーでも、次につなげられるかは分らない事は、経験から知っている。
それでも良いと思っている。
由紀子の事は、単なる元部下だ。
そう、嘘ぶいている自分がいた。
駅まで由紀子と、また会話を楽しむ事にした。
心地よい風が吹いていて、由紀子の髪がなびいた。
僕は自分の置かれている位置や年齢を忘れていた。