媚薬と私

由紀子にメールしたのは、それから一ヶ月後だった。


僕は由紀子に会いたかった。


別に何もなくてもいい。


会って食事したり、飲んだりしたかったのだ。


そして何より、仕事の事を分かってくれていた。


同じ現場にいたから、話がよく理解できたからだ。


「お久しぶりです。」

「メールありがとうございます。」


由紀子のメールはそれから始まり、自分の今の仕事の状況を書いてくれた。


そして必ず、僕の事も尋ねてくれるのだ。


僕も仕事の現状を書いた。


正直、人手不足でとても大変だった。


由紀子とのメールのやり取りは、何回も続いた。


由紀子の返事は、相変わらず遅かったが、無くなる事はなかった。


ただ由紀子のメールのペースが分かってきていたので、何とも思わなかった。


何度かのメールのやり取りの時に、僕はまた由紀子を飲みに誘った。


由紀子のメールの返事は、3日後に来た。


「飲み大丈夫ですよ。」


由紀子の返事には、ビールの絵文字までついていて、オッケーだった。


やった!!


「空いている日があったら教えて」



「・・・今月ですと、30日です。」

「今月といっても、あと3日しか無いですもんね・・。」

「来月は、5日、6日、12日、16日です。」

「それ以降は、まだ出勤日のシフトが出ていないので、未定です。」




由紀子からの返事は、また早かった。


・・・今日は28日だ。


1日でも早く会いたかったが、30日は日曜日だ。


日曜日は家族サービスの日。


特に子供は、僕と一緒に遊ぶ事を楽しみにしていた。


それに、由紀子と会う店を探す時間も欲しかった。
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