媚薬と私


雰囲気に隙がとは、例えば、会話の中に隙があったり、ちょっとした仕草に隙があったり

する事を言う。


ゆかりの場合、旦那さんに対する不満を僕に言っていた。


「何処にも連れて行ってくれない」

「私を女として見ていない」

このような事を、よく言っていた。


「何処かに行きたい」

という事も多かったので、

僕は冗談で、

「じゃあ今度、何処かに連れて行ってあげるよ!」と言った事が、僕とゆかりのデートの

始まりだった。


「日曜日はダメ!」


「平日がベストだけど、あとは祝日でも大丈夫!」


ゆかりは、そう言った。


ある時僕は、有給を取って、ゆかりと平日に、ある行楽地へドライブに出かけた。


もう20年近く前の事だ。


とても楽しかった為、今度は僕の方から、ゆかりをデートに誘った。


ある夏の日、二人で花火大会に行った。


僕はそこで、初めてゆかりと手をつないだ。


とても興奮した!!


暗い中、ゆかりの手の感触が、僕の体全身に伝わった。


もう、花火大会どころでは無かった。
< 38 / 41 >

この作品をシェア

pagetop