最後の恋
『だったらどういうつもりなんだよ』ってこれ以上突っ込まれても、もう答えようがないけど。


そう思っている私の気持ちも全て察しているからだろう。


タケがそれ以上、突っ込んで聞いてくることはなかった。


ただいつものように“ しょうがない奴 ” ってどこか少しだけ寂しそうな笑顔を私に向けて


「辛い時は我慢するなよ。いつでも聞いてやるから‥分かったか?」


って正面から伸ばした手で私の髪をぐちゃぐちゃとかき混ぜた。


「あ、ちょっ…髪が…」


って言いながらタケの手を軽く払い唇を尖らせたけど、タケの気持ちも痛いほど分かっていたから


「…タケ、ありがとうね。」


と少しだけ口角を上げた。


でも、タケだってもう恵里の旦那だしいつまでも昔と同じように甘えてばかりもいられない。


それは、私にも分かっていた。
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