最後の恋
自分でも呆れるから、タケもそんな私に呆れてるかな。


彼はしばらくの沈黙の後、大きな溜息と共に言葉を吐き出した。


「…俺は、ただ杏奈にも幸せになってほしいだけだよ。だから、彼が杏奈を大切にしてくれるなら応援する。けど彼は婚約者の存在はどう考ええてる？お前にはなんて言ってるんだ？お互い、今だけの関係って割り切って付き合ってるなら…」

「一ノ瀬君は知らないよ、私が知ってる事もそんな風に思ってる事も、ね。彼の口から婚約者の話は聞いた事もない。」

「だったら、婚約者ってのが本当にいるのかどうかも分からないんじゃないの？」

「それは間違いないよ。」

「相手から聞いてもないのに、なんで言い切れるんだよ。」

「その話の出所は信頼できる上司だから…彼の身内から出た話なんだから間違いないでしょ？」

「…なら杏奈とは…遊びのつもりなのか？」


タケが難しい顔で、言いにくい事を口にした。


その言葉に、そう思われても仕方ないという気持ちもあったけど


「…彼は……そんな人じゃないよ……」


それはただの願望から出た言葉ではなく、本心から感じてる気持ち。
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