最後の恋
「…真っ暗なところで何してるの?」

「あ、ごめん。夜景が綺麗だったから…ついぼーっとしちゃってた。」

「杏奈…大丈夫?」

「うん…大丈夫だよ。」


彼の目が心配そうに揺れていた。


「コーヒーでも入れるね。」


そう言って立ち上がり、彼の横を通り抜けようとしたとき、腕を掴まれその胸の中に抱きしめられた。


「杏奈が1人で不安を抱えてたのに、ずっと何も気づいてあげられなくてごめん。」


頭上から聞こえて来たその声が自分を責めてるような声だったから、私も胸が苦しくなった。


心配をかけちゃいけない…そう思って黙っていた事で逆に彼自身を責めさせ苦しめることになってしまった。

「謝らないで。黙ってた私が悪いんだから、私もごめんなさい。」

「これからは、どんな小さなことでも不安なことがあったら俺に話して。」

「…うん、そうする。」
< 156 / 277 >

この作品をシェア

pagetop