最後の恋
その時、背後から肩に何かが触れ腰を抜かしそうになった私を力強い腕が支えてくれた。


「杏奈…俺だよ。もう大丈夫だから。」


私の後を追って来てくれた一ノ瀬君の腕の中で一気に安心したら、涙がこぼれた。


なんで、私がこんな目に遭うの…?


彼はドアに貼られたその封筒を剥がすとポケットに突っ込んだ。


「1人で行かせてごめん。もう大丈夫だから、荷物を取って早く行こう。」


彼に促され、鍵を開け部屋に入った。


部屋の中は昨日の午後に家を出た時と何も変わった様子はなかった。


大きな旅行用のカバンに化粧品や、下着や服などの衣料品を入れた。


仕事用のスーツや靴なども幾つか持ち出した。


「後で足りないものがあったらその都度買い足せばいいよ。」

「うん、とりあえずこれだけあれば大丈夫だと思うから。」

「じゃ、行こう。」
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